第一章 株式の基本


■ 株式を発行できるのは株式会社だけ

 会社の形態には様々な種類があり、「株式会社」のほかにも「合資会社」「合名会社」「合同会社」などがあります。
しかし、株式を発行できるのは「株式会社」だけです。
「株式会社」は、株式を発行することで資金を調達し、それを元手に事業を行う会社形態です。
上記のように利子も返済義務もなく資金を集められるので、会社側には便利なシステムになります。


「投資家が増える」
    ↓
「資金が集まり、会社の事業が拡大」
    ↓
「会社の利益が増大」
    ↓
「株主への利益還元が増加」
    ↓
「興味を持った投資家が株主になる」
    ↓
「投資家が増える」
    ↓
   ………

と、これらのサイクルが続いていくと会社が成長していきます。
 配当は、会社の価値を上げるためにも重要な要素です。
これら配当はもちろん、取締役を誰にするか、配当を出すかどうかなども、すべて株主が決めています。
経営方針などは役員が決めますが、株主の意に沿わない場合は解任されることもあります。


■ 株主は会社のオーナー

 株式会社は会社にとって有益なシステムですが、
会社の本当の所有者は、お金を出してその会社の株式を買った株主ということになります。
つまり、ある会社の株式を買って保有していれば、その会社の所有者(オーナー)の一人ということになります。
「企業の買収、筆頭株主になった」などニュースの報道を思い出せば、影響力がわかるでしょう。
会社が発行した株式のうち、51%以上を買い占めると、実質的に会社を回収したことになります。
会社は、会社の一部を売って資金を集めているのです。


 そのため、会社の経営者はオーナーの一人である株主に対し、
定期的に経営状況や経営方針を説明しなければならない義務があります。
それが「株主総会」です。
このことから株式会社の経営者は、株主から委託を受けて事業を行っていると考えることができます。


■ 利益配分の決め方

 会社の事業活動によって生まれた利益は、会社に出資した株主のものと考えることができますが、
株主の配当をどのくらいまで分配するのか、企業が留保している利益「内部留保金」をどこまで残すかなど、
配当の方針は会社が決めます。
 このことを「利益処分」といい、「利益処分計算書」という資料に詳細が記載されています。
しかし、もちろんこの配当が妥当かどうかは、株主総会で株主が決めることになります。


■ 株主の種類

 株式の所有割合が多い場合、以下のような呼び名で株主を区別することがあります。
ニュースなどでも使われるので、頭の片隅にでも入れておきましょう。


「大株主」
 持ち株比率の高い株主のこと。厳密な定義はない。

「筆頭株主」
 持ち株比率が一番高い株主のこと。厳密な定義はない。

「主要株主」
 自己または他人の名義をもって発行済株式の総数の10分の1以上の株式を有している株主のこと。

「安定株主」
 企業の業績や株価の変動などに左右されず、長期的に株式を保有する株主。

「浮動株主」
 業績や株価に反応し、短期で株式を売却すると思われる株主。


■ 出資者(投資家)の責任は出した金額分

 例えば、あなたが出資した会社が倒産した場合、その会社の借金などを請け負う必要はありません。
株券が紙クズになった場合を考えるとわかりやすいでしょうか?
今では株券も電子化されているので紙にすらなりませんが…。
これを「株主有限責任の原則」といいます。
出資者である株主は、株式を購入するために出資をした金額を超えた責任は負わないと、商法で決められています。
つまり、株式会社に対する出資者(株主)の責任は、出したお金の範囲内に留まるわけです。


 もちろん、有限があるのですから、出資者は出資金を失うだけではなく、
会社の借金を返済しなければならない「無限責任」もあります。
ですが、これは「合名会社」などの場合に適用されることなので、ここでは省略します。


ポイント 株式を発行して、効率的に資金を集めるのが株式会社の仕組み
ポイント 株式会社の所有者は、会社に投資(出資)をしている株主

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