第8章 信用取引


■ リスクを減らす売買方法

 リスク回避(ヘッジ)の手段として、現物株を保有している銘柄を信用取引で空売りする「つなぎ売り」があります。
信用取引による売り建てですから、これから値下がりを予想しています。
売り建てをして株価が値下がりすれば、買い戻して差額を利益として受け取ることにより、
手持ちの現物株の値下がり分はカバーできます。
 逆に、値上がりした場合は、現物株を引き渡せば(現渡し)、損失を防ぐことが可能となるわけです。
株主優待をできるだけノーリスクで得るためにこの方法を使う事もできますが、貸株料や品貸料は発生します。
人気がありすぎて品貸料を取られないよう、できるだけ信用売りが少ない銘柄を狙って売買しましょう。


■ リスクを増加させる売買方法

 二階建て取引とは、信用取引において、代用有価証券と同一の銘柄を買い建てて行う取引のことをいいます。
代用有価証券に関して最もリスクの高い取引に、この「二階建て取引」があります。
二階建て取引は、ある銘柄が値下りした場合、代用有価証券の評価額の減少と建玉の評価損の拡大により、
一気に委託保証金維持率の維持が難しくなることがあります。
前日まで40%以上あった維持率が突然30%を下回ってしまう可能性もあるということを覚えておきましょう。


 証券会社によっては、買い建玉と同一銘柄は、原則として代用有価証券として認めていないところや、
リスクを制限するルールから、ある一定の条件に達すると新規買い建てを制限される場合があります。
また、委託保証金総額に対する占有率が50%を下回る銘柄については、買い建てが可能な証券会社もあります。


 例えば、現金100万円、A銘柄50万円分を差し入れている場合は、A銘柄の買い建ては可能ということです。
信用取引では少ない資金でも多くの取引ができるメリットがある半面、
過度な売買を行うことによるリスクもあるということを認識しておく必要があるでしょう。


ポイント 現物株を保有して空売りする「つなぎ売り」
ポイント 代用有価証券と同一銘柄を買い建てする「二階建て取引」
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